未来とつながろう KAKEHASHI

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CREATOR

広島アートプロジェクト

広島市中区吉島地区を拠点としたアートプロジェクト

Works

【きのこ雲】

岸かおる/KISHI Kaoru
岸は原爆の象徴であるきのこ雲を、お菓子にした。世界各国が行った核実験でできたきのこ雲をお菓子に見立て、再現した。様々な形態を見せるきのこ雲を、それぞれ違う製菓の手法で表し、核実験が行われた場所の地図の上に展示されている。そして、各国の製品である事を表す国旗を付け、「あなたはどれが欲しい?」というメッセージが付けられている。核兵器は、各国の思惑で、まるでお菓子を欲しがるように求められ、作られ続けている。岸は、主婦の目線から作品制作を続けている。子供に作っていたおやつを思い出しながら、この作品を作ったのであろう。

【夜間飛行】

鹿田義彦/SHIKADA Yoshihiko
視界を覆うほどに伸ばされた写真は、吉島の夜景を地を這う虫の視点で撮影したものだ。画面は上下に分割されているかの印象で、暗闇の中に煌々と光る外灯や信号機は誘導灯のように見るものの視線を画内へと吸い込み、まっすぐに伸びる白線が滑走路のような広大な直線性を強調している。人気の無い景色が街のヴォイドを印象づけ、白昼時にはない静けさと不気味さが同居している。
吉島を初めて訪れる人は、南北に伸びる全長約2kmの直線道路(吉島通り)に目を見張るだろう。さらに今年は広島高速3号線が開通し、東西を貫く新しい景観が誕生しつつある。作家は夜光虫のように夜の吉島を彷徨いながら、これらの特徴的な風景を捉えた。戦時中に存在した吉島飛行場の記憶を眼下に潜ませて、日中にはお目にかかることが出来ない闇夜の世界を現前させている。

【TAMURO】

大下晶子/OSHITA Shoko
大下は、折鶴の姿を借用しコンビニエンスストアなどの前でたむろする不良少年・少女を表現した。戦後、平和教育に力を入れてきた広島市は、平和都市として世界に認知されている。しかし一方では暴走族追放条例が施行されている市であり、不良、ヤクザの街としても知られている。これが現在の広島市の都市像であり、広島市の二面性を端的に表現している。

【SURECHI-Guy in HIROSHIMA】

坂口直也/SAKAGUCHI Naoya
坂口直也は、近年一貫して「Guy」シリーズ作品を展開している。「Guy」シリーズは、現地でリサーチして感じたことや考えたことを表現するため、あくまでも個人的な解釈であり、ある事実に基づくものではない。今回、よそ者である坂口にとっては、広島での表現は一時的な行為である。その行為とは、個人的な広島に対する解釈と、広島の人たちが考えるそれとの間に様々な「スレチガイ」を見つけることで、一つの広島の在り方を表そうとしているのかもしれない。会期中、坂口は広島に落ちている廃材を拾い身にまとっていくパフォーマンスを継続的に行い、様々な人と触れ合うことを目指します。また、吉島地区は、戦後、よそ者が流れ住み着いた場所です。多くの人々が、様々な歴史を背負って、新しい土地で新しい生活を始めたと言われている。戦後以降の歴史のスタートポイントになった場所でもあると言え、坂口の表現は、このような人の流れと行為の現代場のようでもある。

【白い庭・白い雲】

ハン・シュク・ジョ/Fan Shuru
ハンは、社会問題、または社会的な議論の的として注目される場所や風景などを、絵画や写真、ビデオ、アートオブジェの形を通して、人々の前に再呈示したり、提案したりする作品を制作している。《白い雲》と《白い庭》は、広島をモチーフにした作品である。「白い雲」は写真の合成であり、現在の広島の風景を撮った写真に白い雲のような沖縄の米軍普天間飛行場の図を空に浮かべている。広島では遠い場所の話になっている印象を受けたハンは、「宙に浮いた移設先が広島に着陸するとしたらどうか」というメッセージを込め、65年前の被爆と今の基地問題を同時に考える作品を仕上げた。「白い庭」は広島市外の地図を基に、庭の砂利に用いられる寒水石で砂山を作っている。砂山は日本庭園の枯山水からヒントを得ており、その純白さは原爆の閃光とも、焼け跡の灰とも、犠牲者の骨ともいえる。被爆の焦土を示す一方、他社への関心が“枯れて”いないかと問いかけている。