未来とつながろう KAKEHASHI

MENU

CREATOR

猪子寿之

ウルトラテクノロジスト集団チームラボ代表

Works

花紅(ハナハクレナイ)


花紅のコンセプト

日本から世界へちゃんと発信していきたい。そう思っています。それは、自分の先人達が培った美意識の延長線上に、自分達が、未来を創る行為だと思っています。今回は、墨絵という、ミニマリズムを極限まで完成した、非常に日本的な美術表現を、現代のテクノロジーで、再構築してみようと思ったのです。
そして、絵巻物語という動的な物語であり、絵画、それは、漫画やアニメに繋がってくるものを、紙の代わりに、薄く平らなデジタルビジョン(日本が世界に誇れる分野)で、物語を作ってみようと、古典からサンプリングしつつ、そこに漫画やアニメ、ゲームでの表現を、端的に言うと、愛して止まないスーパーマリオやドラゴンボールの表現を散りばめて表現したかったのです。

花紅の本当のコンセプト

永らく続いた客観主義に基づいた世界の捉え方は、行き詰まりを感じている。ではどうやって世界を捉えればいいのか?客観主義による行き詰まりを乗り越えるヒントを、実は、我々の先代達は、持っていたのではないか?そう考えて、そこを模索してみようと思ったのが、このプロジェクトのはじまりである。
日本の先人達は、特有の美術表現で、3次元空間を2次元の平面に落としこんで来た。3次元空間を2次元に落とすということは、数学的に言えば、情報量を圧縮することである。西洋では、遠近法に代表されるように、客観的な法則で、空間を2次元で表現した。しかし、日本の先人達は、客観的な手法ではなく、極めて主観的な手法で、2次元平面に圧縮してきたように思えるのだ。その最も圧縮度合いが高いのが、墨絵であるように思っている。墨絵とは、そう、極めて、主観的な人間の力によって、究極まで、圧縮された空間なのである。
空間を主観的に圧縮したということは、そもそも人間は、世界を主観的に捉えていたことを、われわれの先代達は、知っていたのだろう。それが、いつのまにか、西洋の客観的世界観が、まるで全てのようになり、我々の世界は、頭で考える理性的客観的世界と体で感じる感情的主観的世界が分離し始めたのだ。過去に回帰しようと言うわけではない。全ての文明と科学の発展を肯定した上で、分裂した世界をもう一度、統合的なものにする、チャレンジなのである。
世界を人がどのように主観的に圧縮したのか、そもそも、そこまで圧縮された表現、大胆でかつシンプルな線で、そもそもなぜ、人々は、躍動感や、世界観を感じることができるのか、

そこに、一定の法則は、あるのか?

コンピューター上で作った仮想な3次元空間を、テクノロジーを使って、墨絵と感じるような美術表現を作るということは、その構造を知るヒントになるかもしれない。それは、従来の客観的視点に立って発展してきたテクノロジーへの新たなチャレンジである。

花紅の解説

西洋で発達した科学というものは、客観と合理性のみをその対象としてきた。主観的なもの、非合理的なもの、身体的なもの、好き嫌いの感情などは、科学からは長らく無視されてきた。それらは科学の取り扱うべきものではないとされたのである。その客観と合理性のみの追求の結果、西洋の文明は、他の文明を圧倒する成功を収めたが、21世紀初頭の現在、それは明らかな行き詰まりを迎えている。
私たちはこのように考える。行き詰まるのは当然である。なぜなら、実際に人間の生きている世界は、科学が無視した主観的なもの、身体的なものこそが、その9割程度を占めているからだ。それなのにその領域は、科学が無視してきたため、例えば芸術家やクリエイターの、個人的な霊感と努力のみに委ねられている。主観は、科学にとっては、未開拓の荒野として残されているのである。

主観は果たして科学の対象とならないのであろうか。そうではない、と私たちは考える。例えば日本画、その中でも例えば水墨画は、客観的世界とは大いに異なった、主観による極めて抽象的な表現だが、数々の優れた作品が存在し、多くの人が同じように感動する。感動に人を問わない共通性があるなら、そこには何らかの法則があるはずだ。法則があるなら、それは科学とテクノロジーによって、探究・再現が可能のはずだ。
こういう思考の元に、私たちは、水墨画の美を3DCGというテクノロジーで分析・再現することを試み、そしてこの作品という一つの結果を得た。
私たちは主張する。西洋の文明は行き詰まったが、科学そのものはまったく行き詰まっていない、主観という手つかずの沃野が、まさに目の前に広がっているのだ、と。つまりこの作品は「主観こそが現代科学の切り開くべきフロンティアだ」という、私たちの高らかなマニフェストなのである。

花紅の作品詳細

○映像
コンピューター上の仮想空間に3Dモデリングにより仮想世界を作り出し、その世界を切り取るときに、墨絵に見えるようにロジックを研究開発した。
墨絵とは、実際の空間を、極めて主観的な人間の力によって、究極まで圧縮した絵画であるため、それをコンピューターでいかにその主観的な人間の力に近づけるかが重要。そこに西洋的な遠近法など、客観的な法則があれば、簡単なのだが、墨絵には、まるで、客観性などはなさそうである。映像は、動的なために、あらゆる角度で、常に、3次元空間の超主観的な2次元化である墨絵と感じる表現を創らなければいけない。
龍が登場するシーンの龍の表現や、ラストの睡蓮が咲きわたるシーンでのスヌーピーが立っている岩のアウトラインなどは、そういう視点でも、見てもらうとおもしろいと思う。

○音楽
主人公の内的な状態を、音楽として表現。
音楽は、実際の映像を見ながら、篠笛奏者に、生で、弾いて頂いた。篠笛は、日本最古からの楽器の一つ。デジタル音に、伝統的な音をリミックスしたのは、全体のコンセプトと同じ。
牛車のシーンには、実際のお寺の鐘の音が入っている。「諸行無常の響き」を感じられるのかなと思って。

○タイトル
『花紅(ハナハクレナイ)』は、蘇東坡の詩、「柳緑花紅 真面目」(柳は緑、花は紅、真面目(しんめんもく=本来の姿))から取ったもの。

○ストーリー
ふと迷い込んだ世界で、自分自身の「迷い」や「雑念」が現れたいろいろなモノたちと、対峙していくことにより、やがては、「迷い」や「雑念」が取れてくるというもの。世界は自分の中にあって、内なる成長によって、そこに、もしかしたらあるかもしれない幸福感に気づくというもの。

○作品の長さ
作品の長さは、11分1秒(661秒)。11も1も、661も素数なので。素数は魅惑で不思議な美しい力があるので。

花紅の展示詳細

○5台のビジョンの連動
映像を表示するビュワーは、チームラボのオリジナルのもの。ビジョンに写る映像は、各ビジョン1台につきコンピューター1台によって表示されているので、それをリアルタイムに連動させなければいけない。各ビュワーが、他の5つのビュワーと、コンマ単位で、ネットワークを介して、同期を取っている。

○来場者に見てもらう際のポイント
普通に、絵巻物語の世界の中に入って楽しんでもらえればと思います。

花紅展示履歴
「スヌーピーライフデザイン展」日本 東京(花紅)
東京国際フォーラム A展示室>2005/11/19~2006/1/15
サントリーミュージアム [天保山]>2006/7/8/~2006/9/24
「スヌーピーライフデザイン展」韓国 ソウル(花紅)
Hangaram Design Museum> 2007/6/29~2007/9/16
「Design Tide in Tokyo 2006」「Peace Needs A New Logo -Pacific Garden Party」日本 東京(花紅)
国際連合大学中庭>2006/11/4
「Y INNOVATION 2007」日本 横浜(花紅)
横浜創造界隈ZAIM別館> 2007/3/8~2007/3/11
「Tokyo Deign Premio DESIGNER‘S WEEK in MILANO」イギリス ロンドン(花紅・うつろいろ)
SUPER STUDIO>2007/4/18/~2006/4/23
「日本新鋭動画芸術展」中国 上海(花紅・うつろいろ)
上海市正大広場(浦東)3階 黄金大道>2007/6/18~2007/6/23
「100% design」イギリス ロンドン(花紅)
Earls Court 2>2007/9/20~2007/9/23
「3rd Life 4th Dimension—The Animamix Art of 21st Century」台湾 台北(花紅)
National Sun Yat-sen Museum >2007/10/20~2007/11/8
「eアートフェスティバル」中国 上海(花紅)
上海サイエンス&テクノロジーミュージアム>2007/10/20~2007/10/22
2007年10月20日 ~ 22日

actface

2007年のau design peojectでケータイのコンセプトモデルを発表。

 

product details
ケータイを使う行為に、新しい価値を。
ケータイの画面・インターフェイスは、話したり、メールしたりする機能を使うために存在しています。 インターフェイスそのものは、機能のために、しょうがなく存在するもの。
話したい人の電話番号を打つこと自体は、目的ではなく、相手と話すためにしょうがなくやっていることです。
インターフェイスが、いくら使いやすくなっても、いくらかっこよくなっても、インターフェイスは、話したり、メールしたりするために、しょうがなく使う存在です。
しょうがないが、しょうがなくない、そうなったらなと考えました。

concept
コンテンツインターフェイスというコンセプト。
本来の目的のために最適なインターフェイスでありながら、本来の目的のために使ったり操作したりする「行為」そのものに、別の価値を持たせ、「行為」自体を楽しいものにし、インターフェイスそのものを、コンテンツにしようとする、新しい概念です。
本来の目的に最適な使いやすさと、使用することや、操作すること自体が、本来の目的と関係なく楽しい、その2 つが完全に同居するようなインターフェイスを考えてみました。
話したり、メールしたりするために、使ったり、操作したりすることが、別の楽しみを持つケータイ。使っていくうちに、ケータイ本来の目的を忘れ、インターフェイスを楽しむために、ケータイを使ってしまうようなケータイ。そんなケータイが、チームラボが考える新しいケータイのコンセプトです。
ケータイを使うために、必要だったインターフェイスから、使っていくこと、そのものが楽しいインターフェイスへ。

product design
はっきりと存在するモノではなく、情報のカタマリのような存在それは、まるでやわらかい光を握っているような、あいまいな存在に どこがモノとしての境界線なのかわからないモノ。
それはもはやプロダクトではないような、物質としての存在があいまいであるかのように表現したいと考えました。にぎったときにやわらかく、ぼんやりと、光に包まれている、そんなケータイをデザインしました。

フィジカルタッチパネルスクリーン
従来のケータイでは、ひとつのボタンにいろいろな表記があるために、普段あまり使わないような機能を使用しようとする際には、どのボタンを押せばよいのか分かりません。
actfaceでは、シーンによって変わるボタンの機能に合わせて、ボタン表記を変えることで、複雑なボタン操作をより分かりやすくしています。また、ケータイを操作する際の、「ボタンを押す」という行為そのものは、身体的に馴染みのあるものなので、そのまま大事にしたいと考えました。
そのため、ボタンの盤面はタッチパネルスクリーン上に「使い慣れたボタン配置」のまま、透明の樹脂ボタンを乗せています。
そうすることで、指先が覚えているボタン配置の感覚で、気軽にボタンを押すという身体的な行為はそのまま保ちながら、より快適にケータイを操作できるようにタッチパネル部分をデザインしています。

●actface Rhythm

 

-product details
さわっていること、それじたい、きもちいい 普段のケータイを操作することが、リズムとなり、水墨世界の映像になる

-concept
音楽を直接奏でるのではなく、普段のケータイを操作すること、ボタンを押すこと、そのものが、リズムとなり、まるで音楽を奏でるように、映像を奏でることになります。 リズムのインターフェイスは、あなたが奏でる水墨の世界。あなたがケータイを操作するリズムに合わせて、水墨の世界が描かれます。電話番号をかける、メールを書く、普段の操作のために、いつもたくさんボタンを押しています。そのボタンを押す行為を、リズムだと考えました。 インターフェイスは、リズムに合わせて、インタラクティブに、連動した映像となります。

●actface PLAY

-product details
つかっていくこと、それじたい、たのしい。
普段のケータイを使っていくことが、物語となり、あなたの町になる

-concept
物語を直接操作するのではなく、普段のケータイを使うこと、そのものが物語をプレイすることになります。
プレイのインターフェイスは、あなたの町。あなたの町は、あなたがケータイを使っていると成長していきます。
あなたの町には、電話帳のみんなが住んでいます。あなたの町では、いろんな事件が起こります。
電話やメール、写真、音楽と、普段の生活の中で、あなたはケータイを使っています。
ケータイはあなたの生活そのもの。
日々の生活の中で、ケータイを使っていく行為が、あなたの日々を映したもう1つの物語をつくり、そして、ケータイを使う行為が、その物語をプレイすることだと考えました。
インターフェイスは、あなたの生活に連動して成長していくあなたの町となります。

「花と屍」

アニメーションのジオラマ – 十二幅対の光の掛軸からなる映像空間物語
映像作品「花と屍」を掛軸に見立てた12台の高さ2.7mのLEDディスプレイに映し
出されたアニメーション、12チャンネルから鳴り響 くサウンドがつくりだすジ
オラマ。

現実空間を、2Om×10mの物語空間へと変貌させる インスタレーション作品。

コンピューター上で創り上げた仮想の3次元空間を、日本の先人達の空間認識を
探りながら、新たな解釈で、平面化した絵画表現。 物語空間を12の視点から切
り取り、空間に配置さ れた12台の巨大なディスプレイで、現実空間を展開する。

フランスパリルーブル宮内 装飾美術館で行われる日仏交流150周年記念事業「感
性 kansei Japan Design Exhibition」の メインホールにて、展示。

展示

2008.12.12-12.21
感性 Kansei ? Japan Design Exhibition, Paris
Kansei Exposition De Design Japonais, Paris
パリ、ルーヴル宮内 装飾美術館
Les Arts Decoratifs
URL: http://www.lesartsdecoratifs.fr/
Les Arts Decoratifs 107, rue de Rivoli 75001 Paris France
Phone: +33 (0)1 44 55 57 50