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2010
11.15

【谷川英和】発明好きから弁理士になった、エンジニア

Author:運営事務局

Tags: 谷川英和

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「KAKEHASHI」第22回のインタビューは、弁理士の谷川英和さんです。谷川さんは大手電気メーカーに入社後、中央研究所等で情報通信技術の研究開発に従事された後、2002年にIRD国際特許事務所を天満橋にあるOMMビルに開設されました。
実は、発明家になるために弁理士になった!?・・・というちょっと不思議な経歴をお持ちなんです!

特許についての専門的な知識を活かして、特許取得を支援する特許工学支援ツールを使って、企業の特許活動を支えていらっしゃる谷川さん。実はなんと、ご自分でそのためのプログラムを開発されたんだそうです!一体どういうことなのかお話を聞かせて頂きました。



■“特許工学”を提唱し、支援ツールを作る

──谷川さんが提唱されている“特許工学”とは一体どんなものなんでしょうか?

特許工学っていうのは、特許の色々な活動自体をデータベースなどを使いつつ、ノウハウをシステム化してツールと方法論でもって支援しようというものですね。活動の効率化など。それには弁理士の活動も含んでいます。博士は研究者時代から取得しようと思ってたんですが、時間もなくて。論文の投函数も増えてきたし、書籍も出しているから大丈夫だろうってことで、論文をまとめて3年ほど前に取りました。今も大学などで特許法、特許工学などを教えています。

──それは各特許のデータベースなんかを作って、マッチングさせるという感じですか?

1つは、アイデアを入れたら、特許資料の半分が出来上がるようなプログラムです。今までの特許申請で採用されてきた文章を自動的に引っ張ってくるんです。「○○な発明」って書けば、用語の説明文とかをフォーマットに流し込める。このプログラムでは、権利化したい発明内容の文章を入力すると、文章中のキーワードとその説明文などが入ったデータベースとを自動的にマッチングし
、発明の説明に必要な文を探し出すんです。

──凄いです! そのツールを使うことで出願までのスピードが格段に早くなると。

他にもツールは色々作ってるんですよ。特許の書類を自動評価したりするものなど。特許検索ツールでは、キーワード入れると、特許で使われている関連語句などを引っぱってくるんです。
技術者が使っている用語と特許で出ている用語では違うことが多いので、そこのマッチングですね。類義語や上位語、下位語とかって検索して使うべき用語がありますから、それを特許独特の表現とマッチングできる辞書を作っているんです。それと特許コードですね。「この用語が出ている特許に割り振られている特許コードは・・・」というのをデータベースから分析して、特許検索に使える特許コードを提案するといったものです。
ツールは販売しています。昔からちょっとずつ作ってきたのが、ようやくって感じですね。


■エンジニアとしての技術と知識を生かす

──まさしく特許活動全体の支援をされていらっしゃいますが、なぜ弁理士事務所を立ち上げる
ことになったのでしょうか?


もともと発明が好きだったんです。100件以上発明していて出願もしているんです。発明すると出願時に色々と説明しないといけないですよね。エンジニア時代は書類を自分で書いていたんですけど、何の添削もなく返却されるんですよ。だけど2時間説明しなくてはいけなくて。途中から、「急ぐので事務所を通さずやってくれ」って言ったんですが、それも通用しなくなりましてもう面倒で(笑)時間はかかるしその過程を急ぐにも限界があるので。じゃあ自分できちんと勉強してやろう、と弁理士学校に行ってました。当時の社内トレード制度を利用しまして、研究職から関係部署へ移籍したんです。
そういった経緯なので、技術者の方からは安心感を持ってもらえますね。特許内容も聞いたらだいたい理解できるものが多いので。

──なるほど、スタートはご自身の活動をスムーズにすることだったんですね。では情報通信系の特許出願というのは多いんでしょうか?

多いですね、たぶん一番じゃないかと。特に、ソフトウェア企業が多い。昔はソフトウェアでの特許は取れないって、間違った考えがありましたね。記載方法の違いだけだったんですが。ソフトウェアで出来ることは、専用回路を組めばハードでも出来ますから。ソフトとハードは実現手段の違いにすぎません。ただ、特許庁が出しているソフトウェア審査基準があるんですが、それにならって表現しないと、特許の許可が下りないんですよ。そこが注意点ですね。出願時にこれを知ってちゃんとしておかないと、どうにもならないんです。後で変更とかが出来ないので。

──特許出願の相談を受けた際に、その特許内容と似た権利を検索したりして、アドバイスをされるんですか?

類似の調査はしないですね。調べて欲しいというお客様からは調査費を頂いて調査します。他の特許と内容が被っているか否かの判断は、特許庁がします。毎年40万ほど出願されるので、全部みるのはありえない。発明者の方々はその道のプロですから、その人たちが「これは新しい!」って思ったんなら、出願してもいいんじゃないかとは話しますね。情報通信分野は世間的に通りにくいと言われていますが、私なら勘が利くので「これがあるからマズイよ」とは言えますし、なければ通る可能性は高いんじゃないかと言ってます。だいたい9割ぐらいは通ってますね。
以前に、ある技術の特許を7000件見て欲しいと依頼があったりして、大変でした。でも、その分知識は増えて、判断が出来るようになったりするんですね。


■技術特許を取る、ということ

──国際特許事務所ということは、海外の事例も扱われるんですよね?

はい。でも我々が直接海外での特許を扱うことは出来ないので、現地の事務所と提携してやっています。日本は日本の弁理士が、アメリカはアメリカの弁護士がって具合にですね。特許庁も完璧には見れないですけど。特許はちゃんとデータベースがあるんで、ほぼ完璧な調査をするんですが、特に論文とかにあるものは分からないんです。法的には「世の中の全ての文献に対して、特許性がなければ特許にしてはいけない」というのが、あるんですけどね。日本の審査官のレベルは高くて、多分世界一です。

──インターネットのような世界では、自分達で特許やそういったプログラム的なものを保護して
いこうって人は少ないんでしょうか?


少ないですね。トップの意識もあるでしょうけど。でも水面下での警告は多いですね、特許の侵害という形で。訴訟になることは少ないんですが。厳密に検討すれば全く侵害してないといった言いがかりは多いです。他国から言われても大変です。だから、外から見えるものは特許を取っておくべきですね。真似し放題ですし、ソフトとかだったら、機能が分かれば概ね作れますからね。
特許権は持ってない、出願もしてない・・・けど儲かっている企業は、打たれ放題ですよね。Googleなどは警告が多かったのか、近年出願件数がすごく増えてきましたね。オープンマインドでやってきたけど、これはイカンと。Googleの出願特許で意外だったのは、地図関係の特許が多く出願されていたことです。たとえばホームページに住所が書いてあれば、それを住所だと自動感知して、地図が表示されるページに自動的にリンクを貼るといったシステムとか。

──ソフトウェアって何かの“応用の応用”って形から出来上がると思うのですが、その下地も特許なんですよね?

全ての技術は、技術の組み合わせで出来ています。利用発明っていうものがあるんです。すでにある技術を利用した上で、新たに何かを発明するってことですね。その新しい技術の利用者は、ダブルで使用料を払うことになります。

──技術の開発者が損をしないようになっているんですね。
では最後に。今後、どのような方向に進みたいですか?


今、作ったツールでのビジネスの仕方を考えてる最中です。あと商標の検索ツールも作ってるんですよ。特許庁のシステムでは類似判断しかしないので、登録の可能性をさらに高める為のツールです。
まだ作っただけですけど、インターネット上で無料公開してもいいか・・・、ビジネスモデルを模索中ですね。

──ありがとうございました!

発明好きから弁理士に・・・と聞いて、どういうことかさっぱり分からなかったのですが、お話を聞いて色々と納得でした!弁理士として、企業や個人の特許出願を支援され、かつご自身の発明活動をスムーズに進める中、エンジニアとして世間での特許活動自体を支援するツールを生み出す・・・すごいです!特許に関して、中からも外からも支援し続けている、まさしく特許のプロって感じでした。

取材@IRD国際特許事務所

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