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2010
11.05

【広島アートプロジェクト】目的のために、今できること

Author:運営事務局

Tags: 広島アートプロジェクト

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「KAKEHASHI」イベント編インタビュー第1段!
今回は、「広島アートプロジェクト2010」の企画運営をされた今井みはる氏からお話を伺ってきました!
今井さんは広島市立大学芸術学部非常勤助教として、今回の広島アートプロジェクトの企画運営の中心を担われてきました。
9月20日は広島アートプロジェクト2010最終日。まだ暑さも残り、時折夕立にも襲われる悪天候の中、今井さんを中心に広島市立大学芸術学部現代表現研究室の学生さん、アーティストの方々、吉島の皆様が作り上げた広島アートプロジェクトは大きな目標に向けて動いていました。
広島アートプロジェクト2010は2つの企画から成り立つ少し変わったプロジェクトです。
企画1の「検証07-09」では、2007年~2009年のプロジェクトを取りまとめ、プロジェクトが何を目指してきたのか、何をどこまで達成出来たのかを検証しています。
一方、企画2の「野外芸術センター」では、過去プロジェクトを開催してきた吉島地区の空き地に作られた仮設の芸術センターから広島を読み解き、今後の進むべき道をアートで表現しています。




■第二段階に向けて進化する広島アートプロジェクト

──今回、広島市立大学芸術館で 検証07-09 というテーマで過去の展示を振り返りました。通常、こういうプロジェクトで過去のことを振り返るということはあまりないと思うのですが、検証07-09を開かれた背景というのは、どんなところにあるのですか。


今年から、広島アートプロジェクトを第二段階に持っていけないかということを思っていました。ちょっと目的を失いかけているのではないかというのが私にはあったんです。というのは、最初、2007年に始まった時は、都市の遊休施設の一つである、元ゴミ焼却施設(旧中工場)を展覧会スペースとして開催したわけですが、その元ゴミ焼却施設をアートセンターにできないかと言うディレクター柳幸典の構想から始まって、 旧中工場アートプロジェクト が立ち上がりました。しかし、2年目から中を使えないということになって。そこをアートセンターにしようという目的が遠くなってしまったんですね。

ただ、それですぐに諦めるのではなく、2008年、2009年はもっと地域に根ざした展覧会をということに切り替えたんです。でも、なぜこの吉島でやるのか、地域でやる意味を考え出した時に、明確な理由というのが、何なんだろうなということがあって。また今年も吉島で、去年と同じような展覧会を開催してもよかったんですが、自分たちでやっている意味がわかんなくなってきてしまうのはよくないなと思って。
そこで一回、振り返って、私たち、いったい何をしてきたんだろうかとか、アートセンター構想以外でも、何か共通した問題意識があるんじゃないかと、自分たちのためにもそれを一回振り返ってみようと。

──アートセンターをつくるという目的を失った中、仕切りなおしをして新たなスタートを切るための
検証だったんですね。

そうですね。正直言って私自身の中では大学でやった検証07-09の答えというのはまだ明確には出ていないんです。広島アートプロジェクトとしては同時開催した吉島での 野外芸術センター とつながらなければならないなと考えて、検証07-09の答えが、野外芸術センターで出ているというふうに展開しました。

──野外芸術センターで出された答えはどのようなものですか?


まず、展覧会を行うのが(イコール)=アートプロジェクトだというのがすごく嫌だったので、今回はそういう形にせず、改めてアートセンターを作るのが最初の目的で、今後も必要ではないかということを表現できたらと。その中で展覧会をやっていますというのにしたかったんですね。提案というのをし続けるのが、一つの方法だと思うので。
アートセンターを作る提案として、過去は模型の展示などをやってきたので、今回は違う方法で具体的にやってみなければ始まらないんじゃないかと思い仮設的に作りました。

──と、言うことは、今井さんの中で今年のプロジェクトを通した最終ゴールは、アートセンターであったり、継続的に吉島で展示会が開かれるようなハコであったり、地域に根ざしたものをつくっていこうと言うことですか。

そうですね。そいうものをずっと目指していますね。新しいハコが欲しいというより、元ゴミ焼却施設をアートセンターに再生すると提案したように、もうあるやつでいいので、そこを活用できたらいいなと思ってます。出来たら吉島で。というのは、ディレクターの柳が打ち出した旧中工場のアートセンター構想が私の中でとても強烈なインパクトだったので、そのような気持ちが強く続いているのだと思います。この構想は、「産業遺構のアートによる再生」という研究テーマを基本にして出来ているんです。そして、こういうプロジェクトが短期集中でポンと開催するということじゃなくてもいいと思いますし、年間通して何かできたらいいし。実際、出来たら出来たで運営のことを考えなければならないのですが、それは出来てから考えればいいかと。とりあえず話をちょっとずつでも進めていきたいなと思っています。


■見る人にとっては、広島ならではのArt

──それでは、野外芸術センターで開催されたHiroshimaArt展のほうを聞かせていただけますか?そもそもHiroshimaArt展というネーミングからしても、テーマが「広島」となると、「平和」や「原爆」をモチーフにした作品が多いのかなと思っていたら、意外と、シュールというか…。
アーティストが色々な切り口を見せているように感じたのですが?

そうですね。広島でずっと活躍されているアーティストさんは、ものすごくダイレクトに戦争や平和に焦点を当てた作品を発表されるというような印象があるのですが、若い20~30代のアーティストがどういう解答を出すかというのを、私は期待をしていました。だから特に出品してくれた学生に対しては、「今の自分にとってリアルなことで広島を読み解いて欲しい」とずっと言っていて、それに対して答えてくれたかなという気はしています。
戦争とか、無理にリアルでないことを作品につなげないようにと、ずっと言っていたので。主婦でもある学生は主婦という観点で、お菓子作りから始めたというのがありますし、「折り鶴」の子は、笑いとか子ども遊びということで作品を作る子なので、そういうところから始めてもらったり。

──なるほど、直接的な原爆とか平和をテーマにするのではなくて、地域というか、何か土地と結びつこう、人と結びつこうとして、そういうものがテーマとしてあって、広島の原爆、平和、風俗を表現のモチーフとして使ってもらったような感じですか。

そうですね。広島という地域性はアーティストによってたくさん出てきますし、場所としては吉島でおこなっていますので、吉島というローカルな場所から見える広島像というのも考えてもらいたいと言っていました。例えば、吉島の道を撮った写真の作品とかは、吉島というのは誰も知らない小さなまちかもしれないけれど、戦後の跡を残しているというのもありますし。何というんですかね、ローカルなところからグローバルな広島を考えるというのが、広島アートプロジェクトの特徴でもあるので、それが出来たらいいなと思ってました。


↑野外芸術センター内「被爆キョウチクトウの森(仮称)プロジェクト」
~戦後の広島に希望と光を与えた花の森に向けて~
被爆した樹木を、地球温暖化の防止に使用することによって、核と二酸化炭素という、二つの「毒」を除去しようとする竹田直樹+上田博文のプロジェクトです。2007年の「旧中工場アートプロジェクト」で、被爆キョウチクトウは吉島地区に植樹されて、大量の苗ができました。その苗によって広島市や他地域を緑化するために、吉島地区にキョウチクトウの森(仮称)をつくるプロジェクトを始めました。


──ただ、アーティストさんの中には県外の方もおられたと思いますが、そういった方はどのように読み解いてくれましたか?

アーティストの中には、このテーマにすごく悩んでいる方もいました。もともと自分の作品の中には広島というものを入れてなかったと思うんですが、特に広島出身の方は、いつかはぶち当らなければならないテーマということで、これを機会にディスカッションをしながら考えてもらったんですけれど。私も随分考えさせられました。普段の作品、作風の中で広島ということを言っていなくても、結局、広島という街で展示をすると、見る人にとっては、広島という街と掛け合わせてその作品を見たりすると思うので、違う読み解きが、2倍にも3倍にも増えると思うんですね。そういう意味では、今回一つの作品を作る、あるいは展示をする時に、作家自身も自分の作品に対して、読み解きが多くなった、あるいは広島に対してのイメージも広がったのではないかと感じました。だから、今回、広島という地域性を読み解くという展覧会をやらなかったとしても、普通に「広島展」というふうになったと思います。

──なるほど。と言うことはアートをアートらしく集めて見せるというものではなく、まさに今やられているように、地域の人たちの生活の中に入っていけるような、ちょっと楽しめる非日常の空間を提供していくというようなものになっていったらというか…。まさに言われている地域の中でのアートの役割というものを実現されたのでしょうか。

地域や街の中で展示をする時は、どんな作品でも、場所というものを意識して、サイトスペシフィックな作品であったほうがいいと、うちの柳ディレクターはずっと言っているので。その場所特有の、その場でしかできないというものをアーティストには要望していますね。それはホワイトキューブでもできるだろうというものはやってないですね。だから今回、大学で展示をする時に、今までの活動を振り返るということで、過去の作品を展示しようかなと思っていたのですが、でも、どの作品を展示したらよいのか迷いました。ほとんどが、その場所、その場所に見合った作品なので。どの作品でも、いきなりホワイトキューブに持ってきてもおかしいなと思って、今回はほとんど展示しなかったんです。
広島アートプロジェクトは、その場所特有のことをやってきたので、必然的に広島という要素も組み込まれていっているのではないかと思いますね。去年のカタログでも執筆して下さった村田真さんという方が、去年の展覧会を見られて、ヒロシマスペシフィックだと言って下さいました。さきほどのサイトスペシフィックの広島特有ということで。「アーティストとしてはそういうことを考えずに作っても、見る人にとっては、広島ならではの、ということになっているのではないか」と言うことですね。


■広島アートプロジェクト2011<予告>

──それでは、最後に。広島アートプロジェクト2011でしてみたいことは何ですか?

来年というよりは、これからは、他の演劇、音楽をやっている人たちから一緒にやりたいという話もあり、小さい話ですが、そういうのがいっぱい出てきているので、それらを組み合わせた新しい方向、展開として進めていくこともあると思います。研究室だけが何かまたやるというよりは、色々なところと関係をつけてやっていくかもしれませんね。まずは、これまでの活動をもう少しまとめて整理したいです・・・。
広島でも他の個人や団体が、色々やっているみたいなんですが、お互いが何をやっているかわかっていないというのがあって。それを繋ぐパイプ役が必要なんですが、それが中々根付いてないですし、だから、そういう役に回りたいなと今は思っているんです。でも、ずっと同じ人がやっていくのもどうかなと、運営面では(笑)

後で今井さんに聞くと、「運営をするにあたり、どういう地域の入り方をすれば、地域の人、見てもらう人に楽しんでもらうことができるか。思考の部分でしか勝てないだろうということで、いつも面白いアイデアとか、一つ問題にぶちあたった時には、知恵で解決していこうというのをモットーにして、みんなで取り組んでいる」ということでした。2007年にボランティア参加してくれた主婦が、2010年には広島市立大学芸術学部の学生として今回のHiroshimaArt展にも出品されており、学生さん達の取り組みや熱意が地域の方々と共に何か新しいものを作り出している姿がすごく印象的でした。

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