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2010
12.24

【林信行】Twitterフォロワー約20万人を誇るITジャーナリスト

Author:運営事務局

Tags: 林信行

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KAKEHASHI」第24回のインタビューは、日本を代表するITジャーナリスト兼コンサルタントの林信行さんです!!


未来のテクノロジー、未来のライフスタイル、それをつくりだすデザインについて取材や講演をされていて、初代iPodの発表やスティーブ・ジョブズ復帰の取材も直にされたんだとか……すごいです!


IT系で今ホットな話題といえば、TwitterやiPad! もちろん林さんも講演会ではこのテーマでひっぱりだこです。というわけで、普段聞けないような気になるお話をたくさん聞かせていただきました。


■電子書籍の鍵はコンテンツとテクノロジーを融合させること

──20年も前からITジャーナリストをされているとのことですが、具体的にどんなお仕事をされているんでしょうか。

「ITジャーナリスト」と名乗り始めたのはITという言葉が流行りだしてからですけど、とにかくテクノロジー寄りの事柄を取材して書いたり、取材を受けたりしています。新聞なら日経で記事を書きましたし、雑誌なら最近はパリス・ヒルトンなどのセレブの最新ファッションを紹介する「エル・ガール」という20代向けの女性誌にもiPhoneやTwitter系の記事で取材を受けることが増えています。あとは、講演会ですね。例えばTwitter関係の講演なら、広告系の企業に対してマーケティングの話をすることが多いです。社内勉強会の講師にもよく呼ばれていて、テレビ局や印刷学会で講演したりもします。今年のテーマは、とにかく電子書籍ですね。

──電子書籍はiPadの発売でも注目されていましたよね!でも、日本の印刷業界と電子書籍は、うまくマッチングできるのでしょうか?

はっきり言って電子出版は、これからどういうプレーヤーが出てくるのかまだわからないので、柔軟に対応していくべきだと思います。日本で電子出版がなかなか普及しないのは、そもそも出版社がしっかりとした契約を結ばずにやっていたりだとか、色々な問題があるんです。講演していると抱えている問題が浮き彫りになって、逆に勉強になりますね。「人手不足で電子書籍にまで手が回らない」とか、「持っているコンテンツがテキストなので、インタラクティブ重視のiPadで読ませるには向いていないんじゃないか」とか。
でも、例えばインタラクティブ・コンテンツを持っていないのであれば、テキストに適したアプリの選定をすればいいわけです。Kindle for iPadやiBooksは、文字中心のものをいかに心地よく読むかという体験をつくっていますしね。どんな選択肢があって、どれくらいコストが掛かって……ということを知らない人がまだたくさんいるんですよ。

──コンテンツを作ってきた人に、ハードやテクノロジーの知識を渡していかなきゃいけないんですね。

どうやったら良い本が作れるかということは、ITに詳しい人が考えるんじゃなくて、これまで自分の専門分野を持って編集に長年取り組んで来た人自身が考えるべきだと思いますね。コンテンツ側、媒体者側が仕込むのが一番近いんじゃないでしょうか。何といってもノウハウを持ってますから。そのノウハウをIT化することによって、一番いいものがつくれます。iPad登場直後にヒットした電子書籍に「元素図鑑」というのがあるのですが、この作者は「ハリー・ポッターの世界にこの図鑑があったらどんな風になるだろう。たぶん、絵を自分で触ることができて、立体になって飛び出してきて……」という風にイメージしたそうです。そういった発想から、これまで表現したかったことを最先端の技術でできるところまで表現してみる、というアプローチこそ、本質だと思います。


■webサービスを育てるビジネスモデル「AARRR」

──林さんはTwitterに関する著書も多く書いてらっしゃいますが、そもそもTwitterって
どんなビジョンのもとにあるサービスなんでしょうか?


「AARRR」(アァー)というデイヴ・マクリュアー氏が提唱した、主にWeb上のサービスを展開しているベンチャーを対象としたビジネスモデルがあるんです。
一つ目の「A」はAcquisition(顧客獲得)で、そのサービスをどうやって知ってもらうかということころ。
二つ目の「A」はActivation(活性化)で、ユーザがそのサービスを使った時に、どこに喜びを感じてもらうかというところ。ここまではたいていのweb・IT系の会社は考えています。でもその先の3つの「R」が重要で、まずRetention(繰り返し利用)は、一度使ったサービスをどうやってもう一回使ってもらうか、使い続けてもらうかという点になります。
Referral(推奨)は、人にそのサービスを教えてユーザが増えていけば楽しくなる仕組みです。
ソーシャルゲームでもそうですが、このRetentionとReferralのところをループさせて、どんどんユーザを
増やしていくんです。そしてもうこれ以上増えないというところまで来た時に、初めて最後の「R」であるRevenue(収益化)を考えればいい。それが「AARRR」というモデルの考え方です。
そうすると、Twitterなんてまだまだユーザが増える可能性があるわけです。最初から採算を考えているというよりは、とにかくプラットフォームを作ってしまえば、後から何とでも動かせるということなんですよね。

──なんだか投資家みたいで、馴染みのない考え方ですね。投資って、回収するまでに何年も
待たなければいけないってイメージですけど……。


そうですね。でも、実際リーマンショックでITバブルが崩壊して以降は投資が冷え込んできてますが、実はIT系の人はそれほど影響を受けていないんですよ。今はIT系ベンチャーは、マシンが1台あればとりあえず始めることができてしまう。だから、初期のステージでの投資は、案外少額で済むことも多いんです。それにも関わらず、IT系ベンチャーは化けるときには大化けすることがある。なので、こういう厳しい時期にIT系の投資はすごくいい対象なんじゃないかなと思います。短期的に年度マージンをもらいながら、ビジネスが育つのを長期的に待つ・・・という感じですね。

──なるほど。日本のビジネスもそんなふうに変えるべきなのかなと思っちゃいました。

日本は、アメリカの悪いところを吸収してしまっている節がありますね。早く黒字化させなきゃって短期的な考え方ばかりが先行して、失敗できない風潮じゃないですか。アメリカのシリコンバレーやピクサーなんかもそうですが、失敗は成功するまでのプロセスで「失敗は成功のうちの一部だ」と呼んでいる人たちが非常に多いです。でも日本では、何かプロジェクトを立ち上げても、失敗するとすぐにチームを解体してバラバラになってしまう。失敗こそ最高に学べる教材なのに、もったいないですよね。
もっとも、実は日本には大きなハンデもあります。日本とアメリカ、あるいは日本語圏と英語圏では、人口の規模がぜんぜん違うので、何かをやろうとしても、最初からスケールがぜんぜん違います。アメリカではニッチなものでさえ十分ビジネスとして成り立つ規模になるけれど、日本はそうじゃない。マスのように大きなものは成り立つけど、ニッチになった途端小さくなってしまうんですよね。
ところで、去年の1月頃に、海外のメディアを集めた場に日本の会社11社くらいを連れて行ってプレゼンさせるイベントを主催したんです。実は、今頑張っていることが二つあって、一つは海外の企業が日本に進出するのを手伝っているんですが、その一方で日本の若いベンチャーが海外で成功するための手伝いをしています。日本にいると小ぢんまりとしたところに落ち着いてしまいがちなので、そうなる前に海外に目をつけて一気にブレイクするところが一社でも出てくれば、そのあとが続きそうな気がしていますね。


■日本と“iT”革命

──iPhoneやiPad、Twitterは、これから日本の企業にどう関わってくるのでしょうか。

僕たちはIT革命を文字って、小文字の「i」と「T」でiT革命、iPhoneとTwitterの革命って呼んでいます。
日本には、海外携帯はぜったい成功しないという神話があったんです。それを、iPhoneが初めて神話の壁を超えて日本に入ってきた。グローバル携帯の1号ですね。ソーシャルメディア系も日本は独自の日本製サービスが強い。MySpaceやfacebookじゃなくてmixiだった。
そこをするっとすり抜けたのが、Twitterです。因みに僕のフォロワーは今20万人弱くらいいますよ。

──20万人ですか!それはもう、立派なメディアですね!つぶやくの緊張しませんか?

そうですね、最初は緊張しました(笑) でも、ただ情報発信をするとか、マーケティングに利用するというより、今は企業もTwitterを対話的に使う時代なのではないかと思っています。最初はマーケティング目的でプレスリリースしかつぶやいていなかったアカウントが、Twitterを真剣に使い続けるうちに顧客の意見を聞くというカンバセーショナル・マーケティングに移行していって、最終的には外の意見を取り入れるかたちになるというのが理想的だと思います。

──企業のあり方自体が変わってきているのですね。ありがとうございました。

メディアとしてのTwitterだけでなく、そのビジネスモデルにまで迫るという盛りだくさんな取材でした!
普段ならちょっと難しそうに感じる話でも、林さんのお話を聞いているととても面白く理解できて、取材班も
とても楽しい時間を過ごすことができました。
何気なくつぶやいているツイッターも、今度からちょっと違った角度で見ることができそうです!

取材@幕張メッセ国際会議場


 

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