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2009
10.02

【真下武久・神里亜樹雄】日常にインタラクションを組み込むアーティスト

Author:運営事務局

Tags: 【真下武久・神里亜樹雄】

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「KAKEHASHI」第20回のインタビューは、インスタレーション作品を得意とされるアーティストの真下武久さん・神里亜樹雄さんのご紹介。生活の中にある動作からインタラクションを生み出し、様々な形でアートにしちゃうお二人です。
普段は個人で様々な活動をされているんですが、今回は、これまでに共作されている「Moony」と「CATLAMP」について色々とお話を聞かせて頂きました!


「Moony」は、スチームを使用したインスタレーション作品。
「CATLAMP」は息を吹きかけることでスイッチの切り替え可能なインタラクティブランプです。

お二人の作品はどれも、日常の中にある動作が作品に変化を生み出す、とっても幻想的かつ不思議で
面白い作品なんです!
そして、何気なくiPhoneを使って作品を見せて下さる姿にアーティストっぽさを感じちゃいました(笑)



■生活の中でインタラクションを生み出す作品

──「Moony」誕生のきっかけを教えて下さい。

真下:最初に場所が決まったオファーがきて、そこで何ができるかなって考えた所ですね。
全面ガラス張りの部屋で、3人で「どうする?映像投影する?」みたいな(笑)
元々、神里君がゼリーに映像を写して映像を食べる作品を、僕も砂に映像投影して変化させる作品。
もう一人のメンバー柴田君が、水に触れると投影しているテキスト内容が変化する作品など、マテリアルを使った作品を個々に出していたんです。
「水も土も食べ物も使ったから後は何や?気体系か(笑)」って流れになって。
神里:じゃあガラスをどうにかしないといけない。曇らせればスクリーンになるんじゃないか?って。
それでスチームを使うことにしました。最初は薬缶にお湯を沸かせてやってみたりしましたね。

──みなさんの作品の集合体のようですね。ちなみにテーマは?

神里:この展示では、湯気=呼吸の拡張として捉えたんです。手前の小さいガラスに息を吹きかけて曇らせると、奥の大きなガラスが大きく曇る様になっています。その湯気をコンピューターで制御して出してるんです。頑張って息を吹きかけ過ぎると、酸欠になりますね。僕らの作品は、写真や映像ではどうしても伝わりにくいんですよね(笑)撮り方も半分は失敗してますし。
全体的には実験的要素も多かったんですが、面白かったですね。

──なるほど。「Moony」の一番印象深い所はどこですか?

神里:「Moony」は、蒸気を出すためにスチームクリーナーを仕込んでいるんです。でも空焚きしちゃうとすぐ機械が壊れちゃって。だから何回も壊しては再挑戦の繰り返しでしたね。同志社大学のローム記念館のオープニングイベントの一環で展示した時も・・・。
真下:僕らのブースものすごい湿気で!間違いなくこの展示のせいです(大笑)
常に水を入れてるから、加湿器を大量に焚いてるのと一緒なんですよ。でも、それも“体験する”ってことで(笑)他の部屋で作品展示をしていた海外の大学生たちの反応は良かったですね。なんだかアジアンチックな印象を受けたみたいで、すごく面白がってました。息をはいてどうこうする発想とかインタラクション、
簡単に言うとバカっぽさとかノリが良かったみたいです(笑)
神里:「Moony」以降、他作品を作っていく中で、息を吹きかけるインタラクションはとてもステキだなぁと
思って、次の共作「CATLAMP」の案に採用したんです。
息を吹きかけると点灯する・・・分かりやすい動作で、そこに熱や光が残る感じが面白くて。
テーマ的には、「息をする=人間だけでなく、生きる上での必然的動作」で、そういったものの変化に関わっていくのが面白いんじゃないかなと。

──インテリアとしても楽しめそうな作品ですが、製品化などの予定は?

真下:考えてはいます。特に「CATLAMP」は製品化のお話があれば製品化してみたい。これはプロダクト的な感じで作ったので、日常的に使ってもらうのも重要という認識があるんです。でも「Moony」とかは非常に難しいんですよね・・・。流通に乗せる行為自体が、それだけで意味を持ってしまうので。
そんなことを考えて作ったアートではないですから、アーティストとしてシビアに考えると・・・。



■個々の制作を活かしてこその「新しいもの」

──個人制作のテーマも人間との連動性がメインなのですか?

神里:個人でテーマや目標点は違いますね。
僕は結構なんでもノリで作ります。コンピューターで制御しきれないものを組み込んで作品を作りたいんです。例えば、蒸気とか煙。ずっと見てても飽きが来ないし、見ちゃう。その一定性の無さがとても心地良いんですよ。そういったものを作組み込んでいきますね。それをみんなに見てもらいたい、共感したいって気持ちで活動しています。逆に彼はすごく考えて作品を作ってますね。
真下:そうですね、インタラクションそのものに興味があります。動きやリズムが物質を乗り越えられるっていうのが頭の中にあって。例えば、タンタンタンっていうリズムは音だけでなくドミノの配置や光、文字記号など様々な形で表すことが可能です。それらは別々の物体だけど、リズムで繋がれる。そういうものを使うと僕らの生活で触れられないモノとのコネクションをより強固に出来るんじゃないかと。そうして新たな試みをしたいんです。僕は神里君の作品を見るのはすごく好きですね。ノリとかが良くて(笑)

──そんなお二人が共作をする時は、どういった方法を採られますか?

真下:色んな流れがあるけど、だいたいまずはコンセプト決定。そこからアイデアを出して形にします。「Moony」の場合だと、コンセプトでは僕の意見が多くて、形にするアイデアだと神里君の意見が多いかな。一度話し合って、ある程度キーワードが出たら一旦個々で膨らませます。で、また二人で詰めて行くって流れです。お互いに個々のテーマとか考えを良く知っているので、コラボレーションする時には協力していく感じですね。
神里:共作やコラボは、オファーがあって初めて「よしやろう!」ってなるんです。面白い場所があったら、
そこに合うことをやってみたいですし。ケースバイケースで。こんなのどう?って遊んでみるのは多いです。
以前、子どもが沢山いる施設で何かして欲しいといったオファーがあったんです。
子どもは、注意しても展示物を力いっぱい触るので・・・と言われてしまって(笑)
「じゃあ触れないものにしよう」ってことで、光と音を使う作品にしました。
特定方向にしか聞こえない指向性スピーカーを使って、その音が壁に反射して出来る「音の道筋」を、
真っ暗な部屋の中に光を使って示したんです。子ども達はその光を追いかけて音を探すんですよ。
それはすごくウケたみたいです。

──まさに逆転の発想ですね。そういった作品には色々な技術が必要だと思うのですが・・・。

真下:「やってみるしかない!」が僕らの基本スタイルですね。アイデアを基に試行錯誤し続けます。画家がキャンパスに色を重ねながら「コレだ」という色味を見つけるのと同じですよ。これがアーティストっぽくて。
お互いに基本的な技術は学校で学んだので、後は遊んでみますね。
神里:遊んでいる内に、賢くなっていくというか。急に方向性が変わったりもします。気付くと全然違うことをやってたり・・・。思ったことを一回やってみると「こっちの方が面白くない?」って。
まぁ話し合って決まることって・・・ほぼ無いかな。
真下:そうだね(笑)

──最後に、今後の個人制作活動についてお聞かせください。

真下:そうですね、やりたいことは沢山あって、特にコンピューターグラフィックスに興味があります。それも3Dソフトを使ってではなく、全部プログラムからので。来秋個人的に何かするつもりですが、秘密です(笑)ナノとかバイオテクノロジーが使えたら面白いなぁ。それがあれば日常で感じてるものを違うものに感じられる気がするんです。全く違う分野の研究でアートに繋がるものが結構あるんですよね。人間ではなくロボットが感じられるアートとか・・・。ネット上に文字を打ち込んで検索する様に、アートをコンピューターの動作源に出来ないかなと。文字=言語は人間のコミュニケーションツールだったのに、そうじゃなくなってるんですよ。
なんか面白いですよね。
神里:その後の世間の反応が恐いですけど(笑)
コンピューター制御できないものをやりたい、見せたいって言うのはありますけど、これと言った具体的なものはまだ・・・その時々って感じです。新しいマテリアルにも興味があるんで。正直、インタラクティブな作品でなくてもいいかなとも思っています。あっ火を使った作品はやってみたいですね。
真下:火は危ないよー(笑)

──ありがとうございました!


終始、笑いの絶えない楽しいインタビューでした。アーティストが個々に作り出した作品がコラボレーションすることで、新たな感動が誕生するなんてワクワクします!今回、作品の映像やお写真を色々と見せて頂きました。どれもスゴク面白そうなんです!…でも実際に目の前で体験し得る感動の、半分も味わえてないんじゃないかと悔しくなっちゃいました(笑)
アート全体を見ると、複雑でちょっと遠い存在なのですが、一つ一つの流れや意味をお聞きしていると、
実は生活に近くて「なるほどなぁ~面白い!」と感じられて楽しかったです。


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