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2009
06.05

【安田裕治】放送業界で大活躍のシステムインテグレーター

Author:運営事務局

Tags: 安田裕治

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「KAKEHASHI」第18回のインタビューは、システムインテグレーター(SI)の安田裕治さんです。

安田さんはSIとして様々なテレビ局から依頼を受け、新しい技術を番組制作に組み込んでいっているという、放送業界においては大きな役割を担っている方。
 
たとえば天気予報の収録って、スタジオでは青いシートを背景にして気象予報士さんやアナウンサーが話すというやり方で、青い部分にあてる映像と合成したものが実際の映像になるような仕組みがとられてますよね。安田さんが制作する「バーチャルスタジオ」という空間は、なんとその青い部分の映像が、カメラに合わせて360度完璧に動くCGの空間になるんです。実際には天井もあって小さいスタジオでも、野球場くらい広い空間をCGで再現してしまうわけですね!
 
いまや様々な番組に使われている「バーチャルスタジオ」技術。日本では放送向けの「バーチャルスタジオ」の技術を持っている会社は、安田さんが経営している「株式会社B.b.design」を含めても数えるほどしかないそうです!「バーチャルスタジオ」やこのCG技術の今後の発展についてお話していただきました。
 
 
 
■制作の幅を広げるバーチャルスタジオの技術
 
──「バーチャルスタジオ」とは、いったいどのような技術なんですか?
 
安田:収録は、普通のCG技術と同じようにブルーシートで撮影し合成します。それと大きく違うところは、カメラに対して生でCGの映像が動くというところですね。秒間60枚の速さで映像が書き換えられていくんです。たとえばスタジオに1階部分しか作られていない建物を、3階4階、その上の青空までCGで空間を作れるわけです。従来のCG合成の技術ではブルーシートに合成する映像がカメラに合わせて動けるわけではないので、現実に近いリアルなCG空間、しかもカメラの動きに動的に応じられる技術というのが大きな特徴ですね。秒間60枚、と、CGを書き換えていることが分からないレベルで書き換えを行っているので、「バーチャルスタジオ」という空間が出来上がるわけです。
 
──なるほど、すごいですね!
 
安田:この技術はアメフトや、テニスの試合では良く使われてるんですよ。いまはコートに対してインしたかアウトしたかを、審判ではなくバーチャルで判断してますから。天井の大型スクリーンにCGでリプレイさせるんですよ。かなり正確です。ボールの軌跡を映像として捉えたものを、カメラが記録しているんですね。カメラは1つのアングルしか撮れないですけど、CG化することによって角度を変えたりズームしたりする事が可能になるウです。これを「バーチャル・リプレイ」の技術っていうんですけど、ミリ単位の誤差しか出ないので公式審判として使われているんです。
 
──公式で使われているんですか!それは驚きました。ところで、安田さんがこの技術を習得されたきっかけというのは何だったんですか?
 
安田:この技術は、そもそも軍事目的で作られたものなんですよ。イスラエルからスタートした軍事技術なんです。15年くらい前から、それを民間に広めようという動きに変わってきて。日本にも広めようというタイミングにたまたま乗ったという感じです(笑)。
 
──なるほど(笑)。現在は、日本でのニーズというのはどれくらい広がっているんですか?
 
安田:導入しているテレビ局は結構多いです。今年は不景気の影響でちょっと減ってきたかなという感じもあるんですけど、逆にバーチャルを使うとセットが削減できて予算が下がるので、そういう意味で流れが変わってきていますね。普通のセットを使うと、別の番組を収録しているときはセットをどこかに保管しないといけないという面もありますよね。その都度セットを持ってきてやらないといけないというのもありますし。バーチャルだと、そのセットを半分以下に減らしてあとはCGで、ということができるので、逆に重宝されてきたところもあります。あと、映像演出の幅が広がるという利点もありますね。天井まで広い空間をCGで作っておけるので、スタジオの「映ってはいけないところ」を意識する必要がなくなるので。
 
──確かにセットの面、すごく便利ですね!ちなみに安田さんは、実際の番組のスタジオ制作の中でどこからどこまでを担当されるんですか?
 
安田: 言われた範囲はほぼ全てやります。コンテンツ作り以外はすべてやることが多いです。番組の制作会議から入ることもよくあります。プログラム制作、ハードウェア開発、システム設計、施工・・・と何でもやるんですよ。でも、コンテンツ制作だけはセンスがないので出来ないです(笑)。コンテンツ制作だけは、我々がいくら努力したところで、それに対して命をかけてやってきた人たちには到底、足元にも及ばないですから。僕らは仕掛けだけをやるんですが、見て接する機会が増えることで、アイデアの可能性が増えていくと思うので、制作会議から入っていってますね。
 
──確かにそうですよね。ちなみに、お仕事はやっぱり東京のテレビ局が多いんですか?
 
安田:いや、実はそうでもないです。というのは、東京のほうがマーケットが確立しているし、技術者も育っているので、大阪のテレビ局のほうがニーズがありますね。逆に大阪ではまだ技術が広まっていないので、技術を導入したところで我々が入っていかなければ使われなくなってしまうと思うんですよ。使われなくなると勿体ないので、我々が支援しているという感じです。番組を撮りにいくのは本来の仕事ではないんですけど、技術が浸透するまではこういう形で支援していきたいと思っています。
 
 
 
■バーチャルスタジオの更なる可能性
 
──今後の活動としてやっていきたいこと等はありますか?
 
安田:バーチャルスタジオの技術を、民間にもっていきたいというのが一番ですね。放送から離れて、大型イベントやホールでのプレゼンテーションに使えるようなCG技術・・・「オーグメント・リアリティ」というんですけど、今はそれにかなり力を入れてます。放送よりもイベントのほうが、書き換えるフレーム数を下げられるぶん自由度が高くて、もっと面白いことが出来るなと思ってるんです。
 
──イベントでのバーチャルスタジオ・・・というと具体的にはどういうものになるんでしょう?
 
安田:簡単に言うと、現実に存在する物を認識させて、それに対してCGを動かすことができるんです。たとえば、CGの車を動かしますよね。で、現実の空間に建物を作っておいたら、そこにぶつからせたり、後ろに隠れさせたりできるわけです。人の顔も認識させられるので、例えば誰かの顔が映ったら何かのアクションをスタートさせるとか、そういった仕掛けが使えるんです。だから、例えば映画の告知イベントなんかで、CGのキャラクターとの掛け合いを生で見せられたりとかするわけですよね。そのへんを普及していきたいと思っています。
 
──面白そうですね!そんなイベント見てみたいです。
 
安田:頑張ります(笑)。あとは、業界への人材輩出ですね。今は、武庫川女子大学でスタジオを作って、授業を持って学生さんの指導も行ってるんです。これにはちょっと狙いがありまして。バーチャル技術ってすごく難しい、という概念をみんな持ちすぎていて、大阪のテレビ局でもそこを懸念されている方が多いんですよね。それを、「学生が扱える」っていうと簡単に聞こえません?
 
──確かに、すごく分かりやすいように思えてきました(笑)。今日は、ありがとうございました。
 
 
今まで何気なく見ていたテレビの中で、こんなに新しい技術が組み込まれていたとは思いもしませんでした。WBCの看板にも使われていたんだそうですよ!驚きました。
 
この技術が、どんどん色んなところに広がっていけばいいなと思います。街中のイベントでこの面白映像が流れる日が、すっごく楽しみですね!
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