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2009
03.13

【近森基・久納鏡子・筧康明(有限会社plaplax)】「インタラクション」の本質を追い求める

Author:運営事務局

Tags: 【近森基・久納鏡子・筧康明(有限会社plaplax)】

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「KAKEHASHI」第13回目のインタビューは、YCAM(山口情報芸術センター)にて2月28日・3月1日と2日間、舞台作品の公演でコラボレートされていた、近森基さん・久納鏡子さん・筧康明さん(有限会社plaplax)の3人にお話をお伺いしてきました!
 
今回公演を行っていた作品は、「珍しいキノコ舞踊団」という、とってもかわいいダンスを踊るダンスカンパニーとのコラボレーション。
なんと1ヶ月間まるまる山口に泊まり込みで、コラボレーションの滞在制作を行ったんだそうです!私たち編集部も舞台を拝見させていただいたのですが、夢のあるすっごくカワイイ舞台。映像も物語も衣装も振り付けも何もかもが刺激的で、興奮してしまいました。
 
YCAMでは定期的に、こういったコラボレーションでの滞在制作の機会を作っていっているんだそう。専門的なスタッフさんが常駐して、YCAMのスタッフさんと、別々のアーティストさんが合わさることで、今回のようなコラボ作品を生み出していっているんです。これは「KAKEHASHI」編集部としては要チェックですよね!
 
そんな作品の舞台美術・映像演出・メディア テクノロジーを担当された近森さん・久納さん・筧さん。近森さん・久納さんはアーティストユニット「minim++(ミニムプラプラ)」として、筧さんは個人で、と元々は別々に活動されていて、ジャンルも別だったそうなんです。でも何度か一緒に活動をするうちに「もっと色々やっていけるね」という話になって、今は「有限会社plaplax」という会社を立ち上げ個人でもグループでも幅広く活動されています。
 
今回の取材では、舞台作品ならではの苦労話や、滞在制作の裏話をたくさんお話していただきました。
 
 
 
■物事の本質を探すところをやりたい
 
──舞台、本当にお疲れ様でした。まずは滞在制作を行っての感想をお聞きしたいです。
 
久納:とにかくものすごく集中して作りました。一つの作品にこんなに集中したのは学生以来だと思います(笑)。他の仕事、全部忘れて吹っ飛んじゃうぐらい。舞台作品というジャンルには今までも何度か関わったことがありますが、ここまで大きな規模の舞台らしい舞台を制作するのは初めてだったので、色々と新しい発見がたくさんありました。
 
──そうだったんですか!初めての大きな舞台作品で、1か月の滞在制作だなんてすごいです。
 
近森:面白そうだし、得るものもたくさんありそうだったので。何でもやるって言ってしまうので、あとで苦しくなることも多々あるんですけど(笑)。でも、僕らはただ単に「頼まれたものを作る」のではなく、何を目指して作るかを明確にしてそこに向けて走りたい、というのがモットーにあるんです。いかにその目的に適合したやり方をとれるかに喜びを見出しているので、それができるなら何でもやりたいですね。
 
──なるほど、制作のプロセスが重要っていうことですか??
 
近森:最初にゴールを設定したいんです。で、そのゴールに向けてどう走るかっていう、物事の本質を探すところがやりたいんですね。だから、企画会議から入る仕事ってすごく楽しいです。仕事によっては、企画だけに関わることもありますし、それぞれの状況にあわせて、僕達の立ち位置を決めて作業にかかります。
 
──今回の作品での新しい発見というのはどういったことだったんでしょうか?
 
久納:というか、普段の展示作品とは何もかもが違うので大変でしたね。今回はコラボレーションでの作品なので、「珍しいキノコ舞踊団」の伊藤さんたちと色々相談してすすめてきたんですけど、言葉ではなかなか作品のゴールやイメージを共有できなくてすごく苦労しました。「やってみないとわからない」ところも大きいし、言語レベルで共有できていると思っていたものを具現化してみると全然違ったりとかして。お互いビジュアルを制作しているだけに、ディテールの解像度にかなりのズレが生じてくるんですよね。たとえば、今回の作品には馬が出てきますが、同じ「馬」でも、お互い「馬」として考える内容や本質が違ったりとか・・。
 
──確かに、それは大変そうですね。今回はそれはどういうふうに乗り越えたんですか?
 
近森:音楽が出来上がってきたときに、共有できたんですよ。「あ、これを目指せばいいんだ」って。音楽は言葉でもビジュアルでもない、全く違うラインに乗っているんですよね。それがうまく作用してくれました。もののとらえ方が違うぶん、苦労も多かったですけど、自分の思いつかないアイデアや見方を得られることはすごく楽しかったですね。「そこまで考えるんだ」っていう発見とか、考え方への驚きは常にありました。
 
 
 
■滞在制作の中で見出したもの、そして今後の活動へと
 
──今回の作品で、3人の中で一番大きな軸になっていたのはどういったことだったんですか?
 
筧:「インタラクティブをどう舞台で表現するか?」ということですね。僕たちは「インタラクション」を活動のテーマにしていますが、それが必ずしも必要なのか?というのが今回のテーマでした。今回の作品ではまさに「インタラクションのデザイン」が僕らの仕事だったので、その関係をすごく考えました。観客が直に触って楽しめる展示作品とは違って、今回は演じるのはダンサーで、観客がまた別にいる。情報の取り込み方が全然違うのでそれが難しかったですね。たとえば、センサーを使うには偶発性がいるけれども、その偶発性を観客が「演出だ」と思ってしまえばセンサーを使う意味がなくなってしまいますから。
 
──確かに、言われてみるとそうですよね。
 
筧:どこまで分かりやすくするか、それが観客にとってどうなのか、ということをすごく考えました。最初はそれを全部分かってほしいと思っていたんですけど、舞台作品としてそれが良いのか悪いのかまでも議論しました。伝わる・伝わらないということもありますが、エンターテイメントとしての良さを与えたいのか、実験性という意味での良いものを作りたいのかという部分も、大きな問題で・・。実は、この舞台の中で使われているインタラクティブを展示しようという話も出たんですよ(笑)。
 
──えっ、それすごく見たいです。面白そうですね!
 
筧:それがあると舞台の見方もすごく変わってくると思います。でも、それで観客に理解されるのは本当に良いのか?という疑問もまたあって・・。観客を取り込まないと実世界とはつながらないんじゃないか、ということを何度も考えました。そこは今後につながる大きな課題になりましたね。あとは、展示作品と舞台作品では、距離感覚と時間感覚が全く違うから、そこがやっぱり大きかったです。舞台と客席にかなりの距離があるし、決まった尺の中で収めないといけないし。舞台でダンサーが使うのと展示で観客が使うのでは、必要になる強度や綺麗さ、形、作り方全部が変わってきますから、面白かったです(笑)
 
──なるほど・・・!最後に、今後の活動としてやっていきたいことを、お一人ずつ教えてください。
 
筧:「最先端は当然みんな持ってる」っていうのが、今のメディアアートの水準なんですよ。技術が重要っていうわけではなくて、ここ最近はみんな技術を持たないと活動できないっていうくらいの時代になってきているんですよね。メディアアートのよくない部分っていうのが、他の人が新しいものを作ると「それはもうあの人が作ったから使えない」みたいなことになってきているところで。でもそれはちょっと違いますよね。ゴールに向けて、たくさんある技術・手段をどういうふうに求めていくのかということのほうが重要なんですよ。今回の舞台に入るときは、やっぱり「今回はどんな新しいものを使おうか?」という気持ちだったんですけど、それは違うなって気づいたのが大きかったです。なので、今後はもうちょっと今の「インタラクション」の概念をとらえ直すところからやっていきたいですね。
 
久納:私は、公園での展示をやってみたいです。公園って、今の社会で公園として機能しているかというとすごく微妙で。そこに本来の公園が持っている意味を取り戻すためにはどういうことを仕掛けていけばいいのかということを考えたいです。メディアアートって、暗い中から取り出されたもので、屋内じゃないと出来ないという概念があるし、屋外に出るようになっても電源が必要だったりインフラが整っていないといけない、というところが長年の課題としてありますし。人が、ただ座っていても楽しいし、そのメディアを使っても楽しいし、という環境を作ってみたいです。
 
近森:筧と久納に言われちゃったんですけど(笑)。久納がいっている「公園」というのは凄いテーマで、メディアアートが長年の課題として持っていた「屋外」という部分を乗り越える事になるんです。今回のコラボレートでも新しい発見があったように、今までにないさまざまな事に挑戦していきたいですね。
 
──すごく楽しみです。ありがとうございました。
 
 
 
舞台作品と展示作品の違い、すごく興味深くて面白いお話で取材もめちゃくちゃ盛り上がりました!公演のあとでお疲れのところ、貴重なお時間を割いていただき本当にありがとうございました。公演のあとだから特にというのもあるかもしれませんが、3人ともエネルギーに溢れていて、私たち取材班もかなり興奮してしまいました。
 
近森さん・久納さん・筧さんの3人は、個人でも活動していらっしゃいますし、コラボでも、3人でも、会社としても幅広く活動していらっしゃいます。
今回のような、刺激的で素晴らしいコラボレーションが、「KAKEHASHI」を通じても生まれていくといいなと思いました。
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