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2009
03.13

【加賀有津子】とにかくアクティブな環境デザイナー

Author:運営事務局

Tags: 加賀有津子

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「KAKEHASHI」第12回目のインタビューでお伺いしたのは、身の回りの空間は何でもデザインするという、大阪大学大学院准教授の加賀有津子先生です。
 
小さな建物の設計から都市計画まで、幅広くデザインを手掛けているという加賀先生。

しかもデザインするだけでなく、デザインツールの開発も行っているんです!自分で開発したデザインツールを使って3次元で設計し、いろんな人にプレゼンを行いながら、その街の人、実際の使い手からのリアルな意見を取り入れて設計していく、ということを学生とともに行っているんだそう。
 
そんな研究分野からイメージした通り、先生はとってもハキハキしていて、とにかく説明が分かりやすかったです!「人に分かってもらうのが仕事ですから」と、カッコイイ女性のお手本のような先生に、環境デザインやツールの研究について詳しくお話していただきました。
 
 
 
■学生とともに、大がかりな街づくりに携わる加賀研究室
 
──先生の研究室では具体的にどんなことをされているんですか?
 
加賀:最近の例でいうと、ある地域の地域おこしを行っています。観光とかをキーワードに、住民の方とワークショップを重ねながら、地場産業の再生や、それができるような環境をどうやったら作っていけるかを考えていますね。住民の方へのプレゼンを行ったりも学生がしていますし、学生の中でチームを組んでデザインのアイデアを競い合うコンペをやったりもするんですよ。学生にプランを任せてアドバイスするという形をできるだけとるようにしているんですけど、結構いろいろ面白いアイデアが出てきて私も楽しいですね。
 
──すごく勉強になりそうですね!他にも学生と一緒に都市計画のようなことを行った例はありますか?
 
加賀:たくさんありますね、うちの学生はかなり忙しいです(笑)。印象的なのは、高知のある地域で、地震で津波が起こって浸水したときに避難するところが無いという問題があって、その避難所や施設を作る都市計画を行ったプロジェクトとかでしょうか。これも学生3~4名で、1か月ごとにワークショップを開いて地域の人や業者の人からの返答を聞きながら、何度も試行錯誤してデザインを考えましたね。
 
──住民の方々ともかなりコミュニケーションをとられるんですね。
 
加賀:そうですね。公共事業は特に、いろんな人の合意を得ながら進めないといけないですから。住民の方々からの意見はとても重要です。デザインは一人でやるものではなくて、いろんな人の意見を取り入れながらやるものなんですよ。
 
──なるほど・・・ちなみに、先生はどうしてこういった研究をしようということになったんですか?
 
加賀:もともと大学時代から、こういうアクティブな分野が面白いなと思っていて、環境デザインのコンサルとかを会社に勤めていたときに行っていたんです。で、大学に来てからは学生と一緒に研究しているという感じですね。大学に所属してからは、第三者の立場で指導ができて、学生と一緒にプロジェクトに関われるのがすごく良いです。
 
──こういった環境デザインを行っていて、苦労するところはどういうところですか?
 
加賀:デザインしている間は試行錯誤の連続なので、苦労はつきものなんですけど(笑)、たとえば設計が終わって実施に入ったとき、最後までこちら側に相談してくれてやれることもあれば、実施からの現場の担当が変わっていくうちに、だいぶ設計から変わってしまうこともあるんです。住民と一緒に設計とかを行っている場合、住民の方々にしても「イメージと違う・・・」っていうふうになる場合もあるでしょうし、私もこだわりを持ってデザインしたところが変わっていたりすると、なんともいえない複雑な気持ちになることもありますね。こればっかりは現場のことなので、仕方のないことなんですけどね。
 
 
 
■分野は限定せず、面白そうなものはなんでも研究する
 
──先生の研究室では、デザインツールまで開発していらっしゃるということですが…
 
加賀:そうです。自分がデザインしたいときに使いたいツールを作った、っていう感じで。このツールは、3次元で環境デザインを考えていくんですけど、実際に出来上がった時のイメージを具現的に見られるんですよね。だから、住民の方々との共通イメージが作れますし、具体的な住民の方々の希望もすごく出やすいんです。設計でよく使われる図面って、一般の人からしたら言葉だけじゃないですか?でも出来上がるものは絵だから、どういうものになるかが分かりにくいと思うんです。このデザインツールを使えば絵を見ながらみんなでディスカッションできるから、私たちにとっても住民の方々がどういうものを求めているのかというのが伝わってきやすいんですよ。
 
──確かに、作ったあとどうなるのかイメージしやすいです。これは、図面から画面に起こしているんですか?
 
加賀: いいえ、逆なんです。基本計画というか、企画段階でイメージまで起こしていると言ったほうが分かりやすいかもしれないですね。図面は、実施にうつってからこれをモトに起こしています。ちなみにこのツールを使うと、普通だと1~2日かかる土工量の計算が5分でできるんですよ。最初に、街のデータを打ち込むときはちょっと時間がかかりますけど、そこからデザインしていく段階では、簡単にデザインを打ち込んで絵にして見ることができて、どういう作業が必要か、その土地では可能かどうか、等が分かりやすく判断できるのですごく使い勝手がいいですね。リアルタイムで住民や使い手の立場になって検討できますし。
 
──なるほど・・・それはそうと、ツールまで作ってしまうなんて、幅広く研究を行っていらっしゃるんですね!
 
加賀:身の回りの空間はなんでもデザインしますよ。小さい建物から、街全体の設計まで。建築、都市デザイン、ランドスケープ、土木・・・など、なんでもやってますね。「○○分野の研究」というふうに境界を作らずに、面白そうなものならなんでもやりたいと思っているんです。今までにない新しさがあって、いろんな人が喜んでくれるものなら、なんでも。
 
──ありがとうございました。
 
 
 
聞けば聞くほどアクティブでエネルギッシュで、なんだか元気をもらってしまいました!先生の開発されているデザインツールは本当にイメージが本物の風景そのもので、これは企業でもいろんなプレゼンに使えるんでは!?とすごく盛り上がったんですけど、今のデザインツールはすごく複雑で費用も高いんだそうです。先生は、「スポンサー募集しています(笑)」とおっしゃってましたが、本当にどんどん便利に活用できそうなツールなので、普及するといいのにな~と思いました。
 
ちなみに先生は今後、「安価でもっと普及していけるようなオープンソフトウェアの開発もしていきたいです」とおっしゃってたので、このツールが私たちの手に届く日も近いのかもしれないですね!
 
インタビューを聞いていて、「環境デザイン」の幅があまりに大きくて具体的だし現実的で、先生の手でどんどん日本の環境デザインが変わっていくんだなあ~と思うと、ドキドキしちゃいました。
 
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