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2009
03.06

【ニシジマ・アツシ】国内だけでなく海外でも活動するサウンドアーティスト

Author:運営事務局

Tags: ニシジマ・アツシ

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「KAKEHASHI」第10回目のインタビューは、サウンドアーティストのニシジマ・アツシさんのご紹介です。

ニシジマさんは、国内だけでなく海外でも幅広く活動を行うアーティストさん。音を使って、いろんな作品の展示やパフォーマンスを行っておられます!
 

今回は、ニシジマさんのアトリエにお邪魔して取材をさせていただきました。私たちがアトリエに伺おうとウロウロしていると、なんと近くまでお迎えに来てくださって・・・そしてアトリエではお茶も出してくださって、なんだか申し訳なかったです。そこからも伝わってくるように、ニシジマさんは本当に親切でいい人~っていう感じでした!
 
アトリエでは、ニシジマさんのCDをBGMでかけてくださっていて、とっても雰囲気のある取材。ニシジマさんのサウンドへの思いをご紹介します!
 
 
 
■日常にあるものの物性から生み出されるもの
 
──ニシジマさんはもう長い間アーティストとして活動していらっしゃいますが、一番初めの作品というのはどういうものだったんですか?
 
ニシジマ:最初は・・・心斎橋パルコで展示させていただいた作品でしたね、確か。2台のアナログシンセサイザーが、L側とR側でそれぞれ別々の操作ができるようにしてあって、来客者はそのシンセを使って音をつくり、スピーカーの振動でピンポンをする作品でした。右のスピーカーと左のスピーカーは換気用に使われるアルミホイルのジャバラのようなもので繋がっていて、お客さん同士がピンポンをすることで音楽になるという作品をやったんですが、「うるさい」って撤去されちゃったんですよね(笑)ほら、なんかシンセに詳しい人やマニアな人が来て、いろんな音を出して楽しんでたら、買い物中の他のお客さんからクレームが入っちゃって。
 
──なるほど・・・!(笑)初期の作品で話題になったのは「モンドリアンピンポン」ですよね。
 
ニシジマ:あれは、卓球台の裏にモンドリアンのコンポジションシリーズの絵が描いてあって、その絵の赤、青、黄色の部分の板だけを削って、表から見える天板だけの薄さにしてあるんです。卓球をすると球が落ちる位置によって違った音が鳴り、予想もつかないバウンドにもなるという作品です。ラケットは太鼓状に犬皮を張ってそれぞれのラケットの音程が違うように細工をしてました。卓球台近くにマイクを仕掛けて、お客さんがプレーして生まれる音やリズムをサウンド・オン・サウンドという方法で、レコーディングして音楽もつくってました。音楽を目的としないスポーツのリズムで音楽をつくりたかったんです。
 
──意外に、素材はアナログなんですね!
 
ニシジマ:超ローテクですよ(笑)構造がブラックボックスに入ってしまうとお客さんも納得できないですし。僕の場合、「このシステムを使って何かを表現しよう」っていうよりは、「あるものの中から何かを抽出する」というほうが強いですね。新しい何かを生み出さなくても、既存のものの中にすでにすべてそなわっているような気がするんです。だからノイズのように、良いも悪いもいろんな可能性をたくさん含んでいるもの探し、その中から何かを抜き出すというのが僕は好きなんです。
 
──なるほど・・・。自然のように多様なものから何かを抜き出すという感じですね。
 
ニシジマ:そうですね。だから音そのものには、それほど執着心がないんですよね。音は空間や時間、生命など、その”場”に在る物性が聴覚的に現れ出たものだと思っているので、むしろ僕に聞こえた音の背景に在るものに、とても興味を持ちます。僕は、サウンドアートというのは、音の世界がもつ様々な側面と、日常の様々な事柄について”類推”したり”同定” することで、 隠れた本質を発見するアートだと思ってるんで、音そのものよりも音的な思考が重要だと思っています。
 
──確かに、ものがないと音も鳴らないですもんね。
 
ニシジマ:ものの形にすごく興味があるんですよ。形って、閉じた輪郭ですよね。閉じてないと線。髪の毛がパッと落ちて勝手に変な形になるでしょう。これは、何なんだろう?って思うんですよ。どこかで何か力が加わらないと、そういうふうにならないと思うんですよ。僕はよくケーブルを使うんですが、あれってすごく絡まるんですよね。両端を持って脇に挟んで絡まらないように工夫するんですけど、なぜか絡まるんですよね。この絡まりは、ケーブル上に知らない間に力が記録されて、その力はすごく密に固まっているところと固まっていないところがあって、目に見えない力の分布が作用しあって複雑な絡まりという形ができる。それが何となく生命的で、とても面白いと思うんです。
 
──ケーブル、よく絡まりますね(笑)確かに目に見えない力を感じます!
 
ニシジマ:そんな曲線を見ていると、どこで、どんな影響を受けてそんな曲線や形になったのか、線上に記録された形の背景が気になるんです...。ときどきコップなんか見ていて、上からみた形・下からみた形・横からみた形、全部違うけど、コップって言われると、横からみたこの形をみんなイメージする。なんとなくものの正面を決めてしまうけど、正面ってなんだろう?そんなことをボォ~っと考えて作品をつくることもあります。
 
 
 
■常に生活の隣にある「音の時間観」を形に
 
──技術者の方とのコラボレーションについてはどう思われますか??
 
ニシジマ:機械やシステムに、助けてもらいたいというのはすごくありますね。僕の作品って無茶苦茶なものが多いんですよ(笑)。スピーカーのかわりに蛍光灯を繋いで光らせる作品を作ったことがあるんですけど、普通のアンプのパワーぐらいじゃ当たり前ですけど全然光らないんですよね。で、変圧器を作ってもらおうと思ったんですけど、でもどれくらいのものを作ってもらったらいいのかわからないから、自分でやってるうちに感電したり火が出たりして・・・。まさに今回の、こういう形で技術者の方とお知り合いになって技術や知識を貸してもらえれば、そういう危険なこともなくなるんじゃないかなと思ってて。
 
──というかそれ、めちゃくちゃ危ないですよね!?
 
ニシジマ:そうなんですよ~。しかも何個も蛍光灯がつぶれちゃったんですよ(笑)おそるおそるやる間に、機械の中のいろんな事が分かってくるので、それがローテクのいいところなんですけどね。工程を踏むことで”勘”がそなわってくるというか。でも、危険なことは大変なので(笑)ぜひそういう技術や知識を持っている方とお知り合いになりたいです。
 
──ちなみにその蛍光灯の作品は、どういうものだったんですか?
 
ニシジマ:「目で見るポエトリー・リーディング」の作品ですね。ニューヨークでポエトリー・リーディングのライブを見たんですが、朗読の後ろで勝手に演奏をしていて、従来の音楽のように演奏が歌や詩の伴奏にならないでお互い独立しているのが面白かったんです。それで、音で蛍光灯を光らせるシステムはすでにできていたので、なんかこのフィーリングを作品にできないかといろいろ試してみました。普通の音楽やFM放送を使うと、蛍光灯がリズムよく光って、音楽とシンクロするただの照明みたいで面白くないんです。実験的にランダムな音素材も試したんですが、何か違う、落ち着かない。作為的につくったランダムは無指向でダメですね。意外とNHKがいい感じで、あまり感情を表さない、淡々と話すリズムと声のトーンが美しいストライプをつくって、ボーっと見てると全然飽きないんですよ。詩の朗読も”間”や声のトーン、音量など様々な要因で、すごくキレイなストライプが出たりするんです。
 
──「言葉の可視化」みたいな感じですか?
 
ニシジマ:ん~ん?詩的に言えばそうかもしれないけど..。この作品では、朗読の音声は蛍光灯を光らせるために使うだけで、音として会場に出さないので無音なんです。朗読者が語る言葉の文字以外の言葉というのかなあ、そういったものが光の縞模様になって、独特の時間観を感じさせるんです。
 
──確かに・・・。朗読での人の声ってすごく心地よいですね。
 
ニシジマ:最近、連続秒針の掛け時計を買ったんです。カチカチいわないもの。時計の秒針を見ているとテンポ60のメトロノームみたいで、何か作業をしていると、行動すべてがそのテンポとリズムに乗っているようで落ち着かなかったので、買い替えたんです。思うんですが、日常生活にはいろんなリズムというか時間が散らばっていて、例えば、電車の時刻表、信号のタイミング、テレビの番組表等々。テレビなんか、朝のワイドショーを見てしまったら、連続で夕方まで見てしまう。DJの人たちが曲をつなぐように各局の番組をフェードイン・フェードアウトできれめなく見てしまって、気づいたら何時間もたっていて、落ち込むことがあります(笑)。テレビだけでなく、僕らは常にある時間のリズムに乗っかってサーフィンしているようなものだなあと思うことがあります。昨年、スイスのアーティスト・イン・レジデンスの”Silent Shadows”というプログラムに参加して、とてもいい経験をしました。約3週間の間、ロウソクを使って照明を使わず、言葉による会話は禁止され、筆談、もしくは、ひそひそ声でコミュニケーションをして、最後には展覧会をするというプログラムでした。毎朝座禅があったり、リンゴの収穫も手伝ったりとまさに修行のような日々でしたが、楽しかったですね。最終日の夜にパーティがあり、会話も電気も解禁になり、早速誰かが電気をつけたのですが、電灯が眩しく感じて、すぐに消すことになりました。みんなでワインを片手に外に出たのですが、今までに肉眼で見たことがないくらいたくさんの星が見えて、びっくりしました。日本に帰ってきてときどき思うんです、あのときは耳も目もそれ以外の感覚も大きく開いていたんだろうなあって。日常生活ってつくづくまわりの環境の影響を反映しているんだなあと思いますね
 
──ニシジマさんの作品はまさに日常生活とともにあるんですね!ありがとうございました。
 
 
 
音楽に対するニシジマさんの考え方、思いがすごく深くて新鮮で、聞き入ってしまいました。人柄がにじみ出るような話し方で、ゆったりと、本当に心地よい「音楽」を持った方なんだなあと感じました。そういったところで敏感だからこそ、ああいった繊細な作品が次々と生まれてくるんですね!
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